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その歯の治療が抜歯と言われたときに考えること
奥から2番目の歯が大きくかけています、重度のう蝕です。
レントゲンで映る黒い部分より実際はさらに深く進行していると考えます。
おそらく、ほぼ100%の歯科医師は抜歯を説明されると思います。
患者さんはガックリ(ガッカリ+ビックリ)ですね。その後の処置が心配です。
そこで、いくつかの治療の選択肢と必要となる期間及びコストについて検討してみましょう。
まず 抜歯せずにできないか、
かなり難しいとは思いますが、挺出と言って、赤の線のごとく歯根を下げるように引っ張って、虫歯を相対的に下に出して、健康な根を利用して歯を作るというものです。
成功率は50%、期間は半年、保険はききませんので 、先生によっては10万円くらいは請求されるかもしれません、また残った根は短いので永久に使用できるかは疑問となります。
次に抜歯した場合。
前後の歯を大きく削り、金属で連結するように接着します。
取り外す必要もなく快適ですが、一部保険では銀色が目立つのと、前後の歯を削るので
そこがまた虫歯になる危険をこれから先に伴います。
ただし定期的なメインテナンスを行えば問題なく経過します。
現在多くのケースで行われている処置です。
また部分入れ歯があります。
他の歯をあまり削らずに保険も使え、期間も1か月ほどで完成します。
しかし、取り外す必要があるのと安定感が微妙になく、前後の歯に負荷をかける構造です。
的確なメンテなしで長期に使用しますと、結局前後の歯が痛むことが多くあります。
最後にインプラントとなります。
しかしこれも簡単ではなく、緑の斜線の部位は上顎洞と言って、空洞になっておりしたがって実際の骨の量は少ない状態です。かなり難度の高い症例です。
このようなケースのインプラントは、まさに経験豊富で、長年真摯に学んできた歯科医師にのみできうる処置となります。
患者様がインプラントを選択し、私がこの治療をする場合にまず第一に考慮することは、
可能な限り
短期間で終わること
痛み腫れをゼロにすること
費用を抑えること(コストを削減し患者様に還元すること)
可能ならばメインテナンスの必要を最小にすること
つまり患者さんを一番に考えることです。
さて始めましょう。
正確に行うための
レントゲンと模型で細部にわたる分析後ガイドを作成します
当日これをお口に装着して行います。
すべて自分で作ります(コストの削減)、業者にオーダーすると4万円くらいかかります。
私のガイドは、樹脂製ですので、実際の手術中に、インプラントの埋入方向の修正がその場で可能になっております。
これは当たり前ですが、レントゲン上と実際の術野の中では明らかに違いがあるからです。これは当然のことです。
これを金属で作製して、左右上下に修正不可能なガイドで行う歯科医師がいるとすれば。
全く論理的ではなく、それを常行していたら、いつまで経ってもあらゆるケースに対処できる技術を習得できません。
中にはそのようなガイドを使っているから安全です、とホームページ上に記載されている方もおられますが、そんなところにインプラントの術者としての資質の綻びがうかがわれます。
こんな感じです、
抜歯したその日にその場で埋入しています。(痛い処置は1回だけ)
周囲の骨を圧縮して(治癒期間の縮小)また、削除した骨をそのまま上顎洞に補填(人工的な補填の不使用、異物を生体内に入れない、コストの削減)しています。
つまり3か月弱で、歯が入り、おそらく30年は使用でき、メンテもほとんどいりません。
いかがでしょうか、
このように一つでも二つでも、創意工夫をして、より完全なインプラントの手術を行う、
常に個々のケースによりオーダーメイドの加療をする、
ここにインプラント治療の奥深さを感じます。
この様に患者様から承諾を得て皆様にお見せするのは、インプラントを薦められた患者様に対し、薦めた先生が、ご自分が行ったインプラントの症例を提示されないケースが多々あるように思います。
それでは、患者様は不安をかかえたまま手術を受けることが多いのではないかと思うからです。
また、医療は本当に日進月歩で、常に最新の技術をお見せすることが必要と考えるからです。
さて皆様はどんな治療を選択されるのでしょうか。
常に超高齢化、歯ブラシがしずらくなっても、シンプルでよく噛めるもの。
周囲の歯を守るような 欠損を拡大しないような、補綴を考えてください。
人生100年は本当に来るかも、それまでに歯を20本以上残しましょう。