犬はいい。
燃るような夕陽にむかい、漆黒にそのシルエット、疲れた男に連れられた犬。本当にいい。
ふらふらと、ゆらゆらと、視界から遠ざかって行く。瞬きを堪え見つめ滲んでいく。
私に触れて。
私を感じて。
思い出して。
初めて、大地を踏みしめ、駆け寄り、抱き上げられたこと。
初めて実の甘味を知り、幾度となく秋を貪ったこと。
初めて、人を想い、哀しさを知ったこと。
そして、達成する喜び。
そう、もっと私に触れて。
その指先から感じる物を信じて。
多くの人々が、忘れてしまったことを考えて。
貴方だけは、私のように生きて。
そしてなにより、今の自分を愛して。
私はいつも貴方のそばに居るから。
ワン!

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